家具:ナポレオン3世様式 ライティングビュロー

  • 材料: ナラ、マホガニー、コクタン、真鍮

コクタンと真鍮が象嵌されたライティングビュローです。テーブルを引き出すと自動的にシリンダーカバーが開く仕掛けになっています。本体表面には割れが入り、象嵌されたコクタン・真鍮が剥離欠損し、マホガニーベニヤも所々で欠落していました。シリンダーカバーの動きもしなやかではありませんでした。

古いフレンチポリッシュを取り除いた後、欠損したベニヤと真鍮を補いました。割れた表面をマホガニー材でうめ、シリンダーの動きも回復させました。再びフレンチポリッシュで過去の輝きを回復させました。

家具表層に割れが発生するのは多くの場合、ベニヤで化粧される下地の木部が動けずに割れを生じ、ニカワで接着されたベニヤにもその割れが表れるためです。

金属の剥離は金属を象嵌した家具によく起こります。その原因には、元々の木と金属の難親和性による接着力の弱さ、金属が木の動きについていけずに剥がれてくる、などがあります。

金属を象嵌する時に、熱伝導による作業の難しさがあります。また、サンディングの摩擦熱で象嵌金属に熱がこもり、ニカワがゆるんで接着したはずの金属が再び剥がれてくることもあります。そのため粘着力がより優れ、常温で使用する魚ニカワを使います。

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家具:アンピール様式 コモード

  • 材料: ナラ、マホガニー、真鍮

マホガニーベニヤの状態がかなり悪く、抽斗見付け全面張替えをしました。摩擦よって擦り切れたすり桟のために抽斗が上手く動きませんでした。すり桟だけではなく、抽斗の形状を修正する必要もありました。本体側板と抽斗底板に割れが生じていました。

古いポリッシュ層を取り除き、痛んだベニヤを剥がし取りました。新しいマホガニーの木目が抽斗7杯の見付け全面に連続して続くように張替えました。抽斗の機能を回復させるために、すり桟を取替え、抽斗削りをしました。側板・抽斗底板に生じた割れを充填しました。真鍮装飾をみがき、輝きを回復させました。新しいマホガニーの色を調整し、フレンチポリッシュで仕上げました。

修復箇所が局部的でない、塗装剥がしが家具の価値を下げないようであれば、私は残っている古いフレンチポリッシュを最初にすべて取り除きます。

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家具:スウェーデン サロンチェア

  • 材料: タイガーウッド

座面フレームは化粧張りされています。

古いニスの層を剥がし、欠けているベニヤを補い、笠木と背もたれを再接着しました。色合わせをし、フレンチポリッシュを施しました。

家具:半円型キャビネット

  • 材料: マツ、サクラ、ナラ、クルミ

クルミで化粧張りされた4本の柱装飾を有するキャビネットです。大理石の天板、羅針図の象嵌が曲面に施されています。

古いフレンチポリッシュ層を剥がし、欠損しているベニヤを補いました。ベニヤの空気膨れを修正し、剥離しているベニヤをすべて再接着しました。仕上げはフレンチポリッシュです。

ベニヤで化粧された家具全般に言えることがあります:ベニヤは普通ニカワで接着されます。白ボンドが登場する以前の家具製作現場ではニカワが主流でした。ニカワにもいくつか種類があり、ベニヤを接着するにはフレキシブルなタイプのものが選ばれます。周囲の湿度に応じて動きを繰り返す木にこのニカワは順応します。ただし近年における冬場に室温を一定化したセントラルヒーティングによって起こる超乾燥により、木の割れと共にニカワもその粘着力を失います。

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