Jolités von België
日本の伝統工芸である漆芸の究極の秘儀は「よく練り合わせる」ことにあります。
漆とベルギーを混ぜ合わせることで、漆芸における東洋(日本)と西洋(ベルギー)の融合・変化を試みます。
ベルギーの地方を訪れ、それぞれの土地から原材料および各地を代表するランドマーク、歴史的背景を収集しました。訪れた場所の作家・デザイナー・学芸員などからも関連情報を入手しました。アジア産の漆にベルギー国内の地域性ある原材料を混ぜ合わせ、さらに各地のランドマークをデザインイメージとした漆器を制作。制作する漆器はオブジェではなく、実用に堪えれる作品とします。
Ostend ➝ 材料:ムール貝、デザインイメージ:ナポレオン要塞
Rumst➝ 材料:リュペル粘土、デザインイメージ:粘土パン
Genk➝ 材料:石炭採掘残土、デザインイメージ:採掘クレーン
Spa➝ 材料:スパ湧水、デザインイメージ:ジョリテ・デ・スパ
伝統工芸は地域に根をはるエコロジカルかつ持続可能的創作活動です。しかし伝統を守るがゆえに時代の流れについていけず、衰退を辿る産地の現状もあります。工芸は更なる進化を必要とします。アジアの漆とベルギーの地方性を混ぜ合わせることにより、伝統的漆芸に新たな活力を見出し、「伝統を伝統で打ち破る」必要があると考えました。
工芸品は付加価値であります。漆器が自ら物語を語る作品を作ることで、工芸品に対する付加価値を再認識してもらうことを試みます。
更に、地球環境に負荷を掛けない工芸的モノづくりを推奨します。ベルギーの地方性を取り入れた作品を展開することで、ベルギー国内の多様性・歴史再発見にも寄与できることを願っています。
(ゲント・デザインミュージアムにて卒業作品展示)
もっと読む