家具:ナポレオン3世様式 ライティングビュロー
コクタンと真鍮が象嵌されたライティングビュローです。テーブルを引き出すと自動的にシリンダーカバーが開く仕掛けになっています。本体表面には割れが入り、象嵌されたコクタン・真鍮が剥離欠損し、マホガニーベニヤも所々で欠落していました。シリンダーカバーの動きもしなやかではありませんでした。
古いフレンチポリッシュを取り除いた後、欠損したベニヤと真鍮を補いました。割れた表面をマホガニー材でうめ、シリンダーの動きも回復させました。再びフレンチポリッシュで過去の輝きを回復させました。
家具表層に割れが発生するのは多くの場合、ベニヤで化粧される下地の木部が動けずに割れを生じ、ニカワで接着されたベニヤにもその割れが表れるためです。
金属の剥離は金属を象嵌した家具によく起こります。その原因には、元々の木と金属の難親和性による接着力の弱さ、金属が木の動きについていけずに剥がれてくる、などがあります。
金属を象嵌する時に、熱伝導による作業の難しさがあります。また、サンディングの摩擦熱で象嵌金属に熱がこもり、ニカワがゆるんで接着したはずの金属が再び剥がれてくることもあります。そのため粘着力がより優れ、常温で使用する魚ニカワを使います。
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