家具:半円型キャビネット

  • 材料: マツ、サクラ、ナラ、クルミ

クルミで化粧張りされた4本の柱装飾を有するキャビネットです。大理石の天板、羅針図の象嵌が曲面に施されています。

古いフレンチポリッシュ層を剥がし、欠損しているベニヤを補いました。ベニヤの空気膨れを修正し、剥離しているベニヤをすべて再接着しました。仕上げはフレンチポリッシュです。

ベニヤで化粧された家具全般に言えることがあります:ベニヤは普通ニカワで接着されます。白ボンドが登場する以前の家具製作現場ではニカワが主流でした。ニカワにもいくつか種類があり、ベニヤを接着するにはフレキシブルなタイプのものが選ばれます。周囲の湿度に応じて動きを繰り返す木にこのニカワは順応します。ただし近年における冬場に室温を一定化したセントラルヒーティングによって起こる超乾燥により、木の割れと共にニカワもその粘着力を失います。

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家具:コロニアルチェア

解体、古く固まったニカワを除去しました。破損した接合を修理し、再びいすを組み直しました。染料で色を合わせ、虫害にあった脚先を薬品で処理し、蝋でふさぎ込み、古色ワックスで仕上げました。

いすの修理ではその多くが接合部のゆるみのしめ直しです。ニカワの劣化と共に、ひとの体重を支えるために柄に負担がかかったこと、木部収縮などによって接合部がゆるむ、もしくは破損します。

虫害穴を蝋閉めするのは美的外観のためと、粉末となった木屑を出さないためです。

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家具:明治時代 美濃帳場箪笥

  • 材料: ヒノキ、ケヤキ

岐阜県にある古民家にて大事にされていました。抽斗の裏面に墨で製作された年号が記してありました。

本体を必要な分だけ解体し、部材ごとに洗浄、虫害による台輪部材を交換し、欠如している部材を新たに製作しました。仕上げは蜜蝋を使いました。